見える化ガイド[5] - 見える化ツールいろいろ

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こんにちは、天野勝です。

見える化ガイド、連載の第5回目は、「見える化ツールいろいろ」です。
本連載の第1回で、見える化を定義した通り、異常が分かって、行動を誘発するような仕組みは、多種多様に存在ます。今回は、タスクボード、バーンダウンチャート以外の見える化ツールをいくつかご紹介します。

■アナログな見える化ツール
◇ニコニコカレンダー(ニコカレ)[*1]
その日の帰り際に、その時の気分に応じたフェースマークをカレンダーに貼るというものです。
チームのムードが見えるようになります。
チームによっては、朝と帰りの2回シールを貼っていたり、フェースマークに加えてその日の残業時間も記録しているところがあります。
ニコカレを運用するには、チームがそれなりに成熟している必要があります。成熟していないと、自身の気持ちは下向きだけど、他のメンバーが上向きな気分だと、なかなか貼りにくかったりして、ついまわりにあわせてしまうなんてことが起きかねません。正しい情報が共有できなければ、見える化としては成立しないのです。

◇バグレゴ[*2]
バグを発見したら、バグに応じてレゴブロックで造形を作って、レゴシートに積むというものです。
製品のバグ状況が見えるようになります。
レゴシートという物理的なサイズに制約があることで、多くのバグを積むことができず、バグ対応のきっかけとなります。
このような遊び心のあるツールを導入することで、バグに対するマインドセットが変わるという効果も期待できます。詳しくは、リンクの資料をご覧ください。

■デジタルな見える化ツール
◇表計算ソフト
表計算ソフトを大きいディスプレイに表示するというものです。
どのような情報を見えるようにするかは、チームによって様々です。
リアルタイムにグラフを更新したり、情報を蓄積するのに力を発揮します。
大きいディスプレイというのは貴重なので、ただ情報を発信するだけに使うのはもったいなく、通常の作業にも使われることが多く、絶えず情報を表示していない現場が多いようです。

◇チケット管理システム
Trac、Redmine、JIRAのようなチケット管理システムも多く用いられています。
これらのメジャーなツールには、プラグインでタスクボード風のビューや、バーンダウンチャートを表示できるように拡張できます。

■アナログツールか、デジタルツールか
アナログも、デジタルもそれぞれ良い点がありますので、それらの特徴を活かして補完して使ってみてください。
まずは、アナログツールで運用して試行錯誤し、ルールが整ったところでデジタルツールに移行するというのがおすすめです。

◇アナログツールの良いところ
・初期コストが安く、すぐに立ち上げられる
・運用ルールに合わせてレイアウトなどを容易に変更できる
・一度に多くの情報を見せることができる
・手で更新するので、異常時のフィードバック感が強い

◇デジタルツールの良いところ
・大量のデータを管理しやすい
・集計が容易
・ネットワークで遠地ともリアルタイムに同期できる
・同じ情報を、用途に応じたビューで表示できる

■おわりに
これで、この連載は終わりです。
この連載が、みなさんの職場が見える化されてカイゼンが進む何かしらの助けになれば幸いです。

ニコニコカレンダー
http://www.geocities.jp/nikonikocalendar/index_ja.html

レゴブロックを使った欠陥の「見える化」--バグレゴによる試行--
http://www.jasst.jp/archives/jasst07e/pdf/A4-1.pdf

見える化ガイド[4] - タスクボードの使い方(実践編)

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こんにちは、天野勝です。

見える化ガイド、連載の第4回目は、「タスクボードの使い方(実践編)」です。

本連載の第2回では、タスクボードの基本形について、その使い方を紹介しました。今回は、実践編として、これまでのコンサルティングの経験で見てきた、実際の現場で使われていたタスクボードの事例を紹介します。

■タスクボードのレイアウト
タスクボードは「見える化」ツールの代表格です。本連載の第1回で定義した通り、「見える化とは、異常を分かるようにし、行動を誘発する仕組み、および活動のこと」ですので、その仕組みや活動を各現場で工夫されてます。

◇Today欄付き
Doing欄を工夫して、Today欄を設けています。これは、朝会と連動して使うことを前提としており、朝会の際に、その日に行うべきタスクを、ToDo欄からToday欄に移動させます。
このToday欄のタスクがすべて、Doneに移動したらその日の仕事はすべて終わりになります。

With_today

◇予実確認Done欄
Done欄を工夫した例です。基準線を設け、その左にはマイナス、右にはプラスの記号を付けています。
仕事が完了した際に、見積もり時間と比べて早く終わればマイナス側、遅く終われば右側に完了したタスクを貼ります。
貼る際には、見積と実績を比較することになりますで、ふりかえりが自然と行えます。

With_actual

◇マルチステータス型
作業手順が定形化されている場合は、その手順に沿った欄を設けて、仕事がどの状態まで進んでいるかわかるようにします。
Multi_status

◇時間割型
1日をいくつかのコマに分けて、1週間分の予定が分かるようにしています。
タスクの着手や終了のタイミングを厳密にしたい場合などに有効です。計画の段階で、タスクの着手や終了に厳密さ求められるものから、ボードに貼っていき、それらに関連する作業を貼っていきます。時間が決まっているので、その時点を過ぎてもToDo/Doingの欄に貼りっぱなしになっているタスクは遅れているということが読み取れます。
Time_table

■タスクボードの材料
アナログのタスクボードを用意するのに、いろいろな材料が用いられています。

◇付箋紙
タスクを付箋紙に書きだして、ボードに貼るというのが最も一般的な方法です。
ホワイトボードの表面には、マーカーで描かれた線を消えやすくするために、特殊な加工がされているので、付箋紙を貼ると剥がれやすいので工夫が必要です。
最近は強粘着の付箋紙も発売されていますが、お値段が高いのが困りものです。そこでおすすめなのが、模造紙を用意してそれに貼るという方法です。模造紙ならば、100円ショップで買える付箋紙でも、充分な粘着性を発揮します。
また、付箋紙のサイズも種類が豊富なので、タスクの見積もり時間に応じたサイズの付箋紙を使うと、一目でタスクのボリュームを把握できます。

◇マグネットシート
基本的に付箋紙は使い捨てになりますので、エコロジーではないという意見があります。そのような方におすすめなのが、マグネットシートです。使いやすいサイズに切り分けて使います。ホワイトボードに限らず、スチール面であればどこにでも付きますし、剥がれにくいので重宝します。
多くのマグネットシートが、表面にコーティングされているので、ホワイトボードマーカーで描いても、消えやすいようになっています。
しかし、描いてから時間がたつと消えにくくなりますので、ホワイトボードクリーナーなどを用意しておいた方が良いでしょう。
ホワイトボードクリーナーを使わないと消えないですし、消すための労力もばかにならないので、エコロジーかも知れませんが、決してエコノミーとは言えません。

◇合成ゴム系の貼って剥がせる接着剤
付箋紙に直接する手書きするが面倒な場合は、紙に印刷してそれをボードに貼ります。
この時におすすめなのが合成ゴム系の簡単に剥がせる接着剤です。商品名としては「ひっつき虫」「ブルタック」というものです。ねり消しのような材質で、接着剤を小さくちぎって貼りつけます。
貼って剥がせる糊もありますが、粘着力がすぐに弱まるのでいまいちです。

◇クリアファイル
貼りつけるのではなく、挟むという方法もあります。
クリアファイルの背の部分を切ってボードに貼り、そこにタスクを挟んでいます。
背の部分だけではもったいないので、その他の部分も折り曲げて使うとよいでしょう。

Clear_file

◇プラダン
ここまでは、タスク側の工夫ですが、ボード側の工夫もご紹介します。
タスクボードにホワイトボードを使う例は多いですが、貴重なホワイトボードをタスクボードとしてのみ使うのは費用対コストを考えると、少しもったいなく感じます。
そこで、おすすめなのがプラスチック段ボール、通称「プラダン」です。
引っ越しの際に、廊下やエレベータ内などの壁を保護するのによく使われている、プラスチック製の段ボールのような構造をもった板といえば想像がつくでしょうか。
残念ながらマグネットはつきませんが、軽いので持ち運びがしやすく、磁石や面ファスナーを貼りつけて脱着式にしたり、天井からつるして使うということもできますし、脚を作れば自立式にもできます。
厚さに種類がありますので、天井からつるすならば薄く軽いもの、自立式にするならば厚く硬いものというように、用途にあわせて選んで下さい。

見える化ガイド[3] - バーンダウンチャートの使い方

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こんにちは、天野勝です。

見える化ガイド、連載の第3回目は、「バーンダウンチャートの使い方」です。

■バーンダウンチャートとは
マイルストーンまでにすべき作業の残量の傾向を見るのに適したチャートです。
横軸に時間、縦軸に残作業量をとります。この「残作業量」というのがポイントです。このチャートを更新するときは、どれだけ作業を行なったかではなく、後どれだけ作業が残っているかを計測してプロットします。

Burndown_basic

■バーンダウンチャートの読み方
図を例に、このチャートの読み方を説明します。
予定線から、期間は5日間で、40という作業量を消化するという計画だったということが読み取れます。
1日目は、予定線よりも実績線が下方にあるので、計画よりも進捗が進んでいるということになります。
(1)では、実績線が横ばいになっているので、何かしら困難な作業があり、作業を終了できなかったか、もしくは、作業は消化してもそれと同じスピードで新たな作業が発生していたのかもしれません。どちらにしろ、良くない傾向です。また、実績線が予定線と交差した時点で、予定よりも進捗が遅れたことが分かり、異常であると認識できます。
その後、実績線が予定線と平行に下降しますので、当初の生産性で作業ができたことが分かります。しかし、予定線よりも実績線が上方にあるので、計画よりも進捗が遅れていることになります。
(2)では、実績線が上昇しています。当初の計画で考慮漏れをするなどして、あとで隠れ作業などが発覚すると、残作業量が増えますので、線が上昇します。このような状況を「バーンアップ」と呼びます。かなりの異常状態です。
その後、予定以上の生産性で作業を消化していきますが、(3)では残作業量を0にできず、最終的には終了できなかったということが、このチャートから読み取れます。

■バーンダウンチャート活用のヒント
上記のように、チャートからその傾向を読み取れますが、このチャートにプロットするための元データをうまく扱えないと、その効果は減ってしまいます。ここでは、バーンダウンチャートを活用するためのヒントをご紹介します。

◇週次計画で作成
バーンダウンチャートは、マイルストーン毎に作り直しのが基本です。では、いつ作り直せばよいでしょうか。
おススメは、週次計画の時です。週次計画では、その週でどのような作業をすべきかを検討しますので、そのタイミングでバーンダウンチャートを作成し、予定線まで引くようにします。

◇タスクボードとの連携
タスクボードのToDo欄と、Doing欄にあるタスクの作業量をカウントすれば、残作業量が分かります。定期的に、タスクボードを確認して集計します。Doing欄に仕掛っている作業がある場合、精度を高めようとすると、その分を考慮したくなりますが、そもそもの作業サイズを計画の際に小さくしておけば、終わったかどうかだけで、それなりの精度が実現できます。

◇朝会でみんなの前で更新
「見える化」の目的は「行動を誘発する」ことです。そのために、バーンダウンチャートの更新は、朝会の時にみんなが見ている前で更新しましょう。もし、異常があれば、その場ば「やばい!」という雰囲気になって、何かしらの対策を講じることになるでしょう。もし、このような雰囲気にならないとしたら、それ自体が異常です。

◇残作業量の単位
バーンダウンチャートから、後どれぐらいで終わるのかという予測が立てられるようになります。ですので、残作業量をカウントする際に工数(人時)を単位とすることがありますが、アナログ的に管理するのであれば、あまりお勧めしません。その理由は「面倒くさい」からです。
お勧めは、タスクボードに貼られている付箋の枚数です。枚数を数えるだけであれば、さほど労力はかかりません。その代わり、それぞれの付箋に書かれている作業のサイズに幅がありすぎると、精度が低くなりますので、計画の際に作業は2~4時間程度を基本として分割するようにします。

◇飛び込み作業の扱い
飛び込み作業もバーンダウンチャートで扱っていくと、実績線が下降せずに水平で推移するか、もっとひどいと、バーンナップしてしまいます。このような状況が可視化されて、定常状態になってしまうと、次第にモチベーションが低下して、バーンダウンさせようという気が薄れてしまいます。このようにならないように、飛び込み作業は別で管理するのをお勧めします。バーンダウンチャートでは、計画的な作業を管理するほうが相性が良いです。
もっとも、このように飛び込み作業が多いという状態は、チームだけでは対処しかねますので、エスカレーションすべきです。

見える化ガイド[2] - タスクボードの使い方(基本編)

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こんにちは、天野勝です。

見える化ガイド、連載の第2回目は、「タスクボードの使い方(基本編)」です。

■タスクボードとは

タスクボードとは、タスク(すべき作業)を可視化して、仕事の状況にあわせて、タスクのステータスを管理するツールです。

 

Task_board_basic

図1 タスクボードの基本形

 

図1のタスクボードは、もっともシンプルで基本的なレイアウトの例です。
タスクが配置されている場所でその状態を示します。それぞれの区画は

・ToDo:やるべきタスク
・Doing:やっているタスク
・Done:終了したタスク

となっています。
タスクのライフサイクルを紹介しますと、タスクは最初にToDoの区画に貼られ、タスクに着手したらDoing、タスクが終了したらDoneに移動させます。左から始まり、右に進んでいきます。
このタスクボードは、平たく言えば、単純なToDo管理のためのボードです。当然ながら個人でも使えます。プロジェクトファシリテーションでは、このタスクボードをチームで使うことをお勧めしています。

■なぜチームで共有するのか
チームで使うことをお勧めするのは、個人で使うよりもメリットがあるからです。そのメリットとは、相乗効果です。
その相乗効果の最たるものが、助け合いが生まれて、チームとして仕事を進められるようになるということです。いわゆるチームワークです。このような状態が実現できると、仕事の生産性や品質も副次的に向上していきます。
連載の第1回目で定義したとおり、「見える化とは、異常を分かるようにし、行動を誘発する仕組み、および活動のこと」です。タスクボードを活用していくことで、チームのメンバー同士で、仕事のやり忘れをフォローしたり、より良い仕事の進め方をアドバイしたりといった行動が誘発されやすくなります。

■タスクボード活用のヒント
これまで紹介したように、タスクボードの使い方はとても単純です。しかしながら、実際に運用をして、効果を上げていくことはなかなか難しいというのが現実です。
これまでのコンサルティングなどの経験から、活用するためのヒントをご紹介します。

◇異常を定義する
行動を誘発するには異常であることが認識できなくてはなりません。またこの異常であるという認識が個人毎に違っていては助け合いが生まれにくくなりますので、チームとして異常の定義を共有します。異常の例を紹介しましましょう。図2は、人ごとにレーンを設けたタスクボードで、これから異常が読み取れます。

Task_board_abnormal

図2 異常のあるタスクボード

・仕事の偏り
特定の人のToDoに集中してタスクが貼ってある。

・マルチタスク
特定の人のDoingに複数のタスクが貼ってある。

・仕事の進みすぎ
次のToDoがない。

これらの異常はあくまでも例です。みなさんの状況に応じて異常を定義してください。また、状況はどんどん変化していきますから、一度定義した異常が異常でなくなることもありますので、定期的な見直しが必要です。

◇更新のタイミングを決める
タスクボードを使うには、それなりにコストがかかります。つまり、面倒くさいわけです。そのため、タスクボードを用意してみたけど、次第に使われなくなるということが実際に起こります。このような状況を回避するには、更新のタイミングを決めるのがポイントです。
タスクに着手した時、終了した時に更新するのが理想ですが、それにこだわらず、トイレに立った時に更新するなど、何かしらのイベントと関連付けるとよいでしょう。とはいえ、朝会の前に一度だけ更新するというのはナンセンスです。これでは、状況が分かりません。日に数回は更新しましょう。また、自分のタスクを自分で更新するということにこだわらず、他の人が更新していないようならば、声をかけて状況の合わせて更新してあげましょう。このようなちょっとした助け合いも気持ちよいものです。

◇チームで計画する
他の人が仕事で困っていたら助けたいものですし、自分が困っている時は手を差し出して欲しいものです。しかし、お互いにどのような仕事をしているかがわからなくてはなかなか手が出せないものです。タスクボードにタスクを貼れば、仕事の量や進み具合はわかりますが、その中身までは分かりません。これを解決するには、タスクを作る際に、チームで計画するのがポイントです。
タスクの粒度が2時間程度になるまで、分割をしていきます。この分割をするというのは、その仕事のことが理解できていないとできません。つまり、分割できるのであれば、他の人の仕事を理解しているともいえるでしょう。
他の人の仕事がどのようなものかを全く分からない状態で、すべてのタスクを分割するというのはさすがに時間がかかりすぎますので、まずは手ごろなものに絞って行なうところから始めるとよいでしょう。
チームで計画すると、ナレッジの共有なども加速されるので、大きなメリットがあります。計画の詳細については「プロジェクトファシリテーション 実践編:プランニングガイド」に記載する予定ですが、まだまだ書き上がる予定はありません。おススメの書籍がありますので、そちらを参照してください。[*1]

■Not タスクボード
これまで説明したようにタスクボードは、タスクボードそのものが効果があるのではなく、タスクボードを使って仕事を進めることで効果があるのです。以下のようなものは、プロジェクトファシリテーションの文脈ではタスクボードとは言い難いです。

・他人を意識しない
自分のタスクだけしか興味を持たない。他の人に異常があっても、見て見ぬふりをする。

・更新の頻度が少ない
更新がほとんどされていないため、タスクボードの状況と仕事の状況が一致しない。

・上位職の管理のためだけに使われる
上位職の管理にも使えるというのは良いことですが、管理される感じが強くて苦痛に感じる。

・異常を隠す
異常が見えると叱責されるといった風土で使用すると、異常がわかることが重要なのに、その異常を隠してしまい、結局のところタスクボードの状況と仕事の状況が一致しない。

[*1]『アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~』

http://www.amazon.co.jp/dp/4839924023

見える化ガイド[1] - 見える化の定義

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こんにちは、天野勝です。

プロジェクトファシリテーションの原則の1つである「見える化」を、仕事の現場で具体的にどう活用していけばよいかヒントを得ていただくことをゴールとして、「見える化ガイド」と称した連載いたします。

連載は、全5回を予定しております。

  • 第1回:見える化の定義
  • 第2回:タスクボードの使い方(基本編)
  • 第3回:バーンダウンチャートの使い方
  • 第4回:タスクボードの使い方(実践編)
  • 第5回:見える化ツールいろいろ


今回は、第1回として「見える化の定義」をご紹介します。

■見える化とは

見える化とは、異常を分かるようにし、行動を誘発する仕組み、および活動のこと

見える化の目的は、行動を誘発することです。

人の行動を誘発するには、その本能に近いところを刺激するのが最も効果があります。人間の危機回避本能的な側面で考えれば、正常であることが分かることよりも、異常であることが分かる方が、行動を誘発しやすいというのは想像できるでしょう。見える化では、異常が見えるようにすることが基本です。そのためには、正常であるか、異常であるかの判断基準が必要です。そして、その異常であることが強く伝わることで、より強く行動が誘発されるのです。

また、正しい情報が見えることも必要条件です。うその情報しか分からないようでは、見えるようになっても全く価値はありません。

■見える化と可視化の違い

「見える化」に似た言葉に「可視化」があります。ここでは、この2つの言葉を違うものとして取り扱います。

可視化は、見えるようにしただけで、行動を誘発するような仕組みがありません。これまで見えなかったものを見えるようにするだけでも労力がかかるので、大変な作業なのですが、これだけでは見える化ではありません。せっかく大変な苦労をして、可視化しても行動を誘発しないようであれば、とてももったいなく思います。しかし、このレベルで止まってしまっていることが多く見られて残念です。見えるところまでは頑張ったが、そこで力尽きたという感じでしょうか。

見える化はカイゼンの道具

Mieruka_cicle
見える化は管理の道具ではなく、カイゼンの道具です。

チームが、可視化によって自分たちの状況を見えるようになることで、チームの問題に気がつけるようになります。問題が分かれば、それに対して改善策を練ります。問題に気がつくのも、問題に対する改善策を練るのもチーム自身です。そして、チームで決めた改善策をチーム自身で実行します。その改善策の効果は可視化をしているので、その良し悪しを判断することができます。悪い効果があれば、またそれは改善の対象になります。

このように「改善を継続していくこと」を「カイゼン」と呼ぶことにします。

一方、管理の道具というのは、どういうことでしょうか。ここでの管理とは、あまり好ましくない管理のことを指しています。例えば、情報だけしか見ようとしないマネージャがいたとします。可視化によってこのマネージャが現場の状況が分かり、現場の問題に気づいたとします。このようなときに、このマネージャが「お前ら何やっているんだ! このままだと給料減らすぞ!」などと言葉を現場にかけたとしたらどうなるでしょうか。ありがちな反応としては、情報を操作して、良く見えるようにねつ造をしてしまうというものです。このようになってしまったら、せっかくの可視化の仕組みが台無しです。うその情報しか分からないようでは、そこに価値はありません。正しい情報を得るためには正しい運用が前提となります。

また、可視化によって見えるようになった情報をもとに、個人の評価をすることも考えられるでしょうが、これも、誤った使い方の一つです。たちまち、うその情報で真実が覆い隠されてしまうことでしょう。

異常に気づく人と、行動をする人が近くにいることもポイントの一つです。例えば、異常に気付くのがチームから距離的にも立場的にも離れたマネージャであり、このマネージャが状況に応じて改善策を考え、その改善策の実施をチームに命令してもなかなかチームは動かないでしょう。人は困らないとなかなか行動できませんので、チームが困っていないようなら当事者意識が持てずに行動が弱くなってしまうことでしょう。現場は現場レベルでの異常に気付いて行動を起こし、マネジメントはマネジメントレベルの異常に気付いて行動を起こすべきです。現場で解決すべき問題をマネジメントに任せたり、マネジメントで解決すべき問題を現場に任せるのは、ただの責任転嫁でしかありません。

■五感に訴える見える化

「見える化」という感じから、見える化とは視覚だけに特化したものだと考えがちですが、実は視覚だけに限定する必要はありません。例えば、音がしたり、振動したりという、聴覚や、触覚なども大きな意味では見える化の範囲に含むと考えます。異常に気付けて、行動が誘発するための仕組みや活動であれば、見える化です。

行動を誘発するためには、フィードバックを強くすることが一つの解となります。フィードバックを強くするためのデバイスをXFD(Extreme Feedback Device)と呼びます。

■「異常」と「問題」

「異常」と「問題」という似たような意味の言葉ですが、どちらの言葉を聞いた方がよりインパクトが強いと感じますか?

筆者は、はるかに「異常」という言葉の方が強いインパクトを感じます。より強いインパクトがある方が、行動を誘発する傾向がありますので、見える化の定義としては、「異常」を分かるようにする、としています。